切迫早産は、簡単に言うと早産になる危険性のある状態です。
もし切迫早産と診断されても、適切な治療を行うことで元気な赤ちゃんを生むことはできます。ただ、初期症状を見逃さず、すぐ受診することがとっても重要になります!
ここでは、元気な赤ちゃんを産む為に、お母さんに知っておいてほしい切迫早産の症状や予防法についてまとめてみました!
切迫流産と切迫早産の違いって?
切迫流産と切迫早産は、切迫する「時期」の違いで診断名が変わります。
この時期というのは、分娩時期の分類と同じで、次のように分類されます。
- 流産
妊娠22週未満(21週6日まで) - 早産
妊娠22週0日~妊娠36週6日まで - 正期産
37週0日~42週未満 - 過期産
妊娠42週0日以降
つまり、妊娠22週未満で、流産する危険性のある状態となるのが切迫流産、妊娠22週~妊娠36週に早産になる危険性がある状態になるのが切迫早産です。
この2つの大きな違いは、もしものとき、赤ちゃんが生存できるかできないかです。
早産の場合は、赤ちゃんはお母さんの体の外に出ても、生存の可能性はありますが、流産の場合には、残念ながら今の医療で生存できる可能性はゼロと判断されます。
切迫早産の原因は?
感染症
妊娠中はお母さんの抵抗力が弱まって、細菌による感染症をおこしやすい状態になっています。
膣から細菌が侵入して、炎症を起こすと、子宮収縮を促すホルモンが出たり、赤ちゃんを包む卵膜が溶かす物質がでることが関係すると言われています。
子宮頸管無力症
子宮頸管無力症とは、子宮の出口部分の子宮頸管が、通常しっかり閉じているのに対し、出産のときのように開いてしまう症状です。
原因は、筋力が弱い・頸管が短いなどの体質的なものが多いですが、流産の手術、多児妊娠でも起こることがあります。
子宮奇形
子宮奇形は、先天性異常(生まれながらの異常)で、正常の子宮より小さかったり、子宮の間に壁があったりします。
不妊や流産、位置異常を起こすリスクが高いと言われています。
ストレス・疲労
体をうごかす仕事を続けている方や過度なストレスでも早産を起こすリスクが上がります。
全体でみると、切迫早産になる確率は15%言われていますが、実際に元看護師の私の周りでは、妊娠した人の約半数は切迫早産になっていました…。
危険性はわかっていても、仕事となると無理をしてしまう人が多いので、注意したいところですね。
糖尿病・妊婦高血圧症候群
糖尿病をもっている方は、通常の妊娠の2倍も流産のリスクがあると言われています。
血糖値のコントロールがうまくいかない場合には、妊娠高血圧症候群を合併して胎児への血流が低下したり、羊水過多になって破水する危険性があるからです。
切迫早産の症状
切迫早産は、早産の1歩手前の状態なので、通常の出産前と同じ症状が起こります。
子宮収縮が周期的に起こり、子宮口(子宮の入口)が開いてきて、破水・出血することもあります。
そのため、次のような症状があるときには、切迫早産を疑い、早急に受診しましょう!
- お腹の張りや痛みが続く・頻回に起こる
- 出血があった
- 破水した
切迫早産の治療
基本は安静!
切迫早産と診断された場合には、安静が第一です!
切迫早産の切迫度や症状により、どれくらい安静にすればよいかは違います。
- 切迫度【小】は、自宅安静
仕事はNG!家で軽い家事はできます。 - 切迫度【中】は、最低限の動作のみ
仕事・家事・外出もNG!トイレや食事など最低限の動作はできます。
子宮口が開いてきている場合には、入院となる事もあります。 - 切迫度【大】は、絶対安静
破水した時には、入院して食事・排泄もすべてベッド上となることがほとんどです。
薬の投与
子宮収縮が起こっている場合には、子宮収縮抑制剤を投与して、子宮収縮を抑えます。
手術
切迫早産の原因のところで少しお話した、子宮頸管無力症の場合には、子宮頸管を糸で縛って開かないようにする『子宮頸管縫縮術』を行うこともあります。
妊娠週数が経過して、正期産(37週)を迎える頃には、抜糸をします。
切迫早産の予防法
妊婦検診をしっかり受ける
妊婦検診では、早産の原因となる感染症や子宮頸管無力症、子宮奇形、糖尿病、妊娠高血圧症候群を早期発見できるので、切迫早産になる前に治療を開始することができます。
また、自分では気づかない間に早産しかかっている場合もあるので、赤ちゃんのために妊婦検診は必ず指示通り受けるようにしましょう!
病気予防のために、人混みは避ける
人混みは、お腹に人が接触する危険性もあるほか、早産の原因となる感染症にかかる危険性もあります。
必要以上の人混みは避けるようにしましょう。
セックスのときはコンドームを使う
精液には子宮収縮を促す物質が含まれています。また感染を予防するためにも、精液と触れ合わないよう、セックスの時にはコンドームを使用しましょう!
疲労やストレスを溜めない
疲労やストレスは早産の直接的な要因になることがわかっているので、無理はせず、休めるときにしっかり休みましょう。
おりものや出血に注意を払う
切迫早産の徴候には、日ごろから注意して過ごしましょう。切迫早産を疑う症状があったら、すぐに病院に相談するか病院受診しましょう!
おわりに
妊婦さんのうち、切迫早産になる確率は15%と言われていますが、そのうち10%の方は正期産以降に出産をしています。
ですから、きちんと切迫早産の徴候に気づいて、適切な治療を行い、安静を保つことができれば、低出生体重児などのリスクを減らすことができます!
自宅安静の場合には、家事でつい体を動かしてしまったりと安静の指示を守るのが難しい面もありますが、もしもの時に後悔しないよう、絶対に無理をしないのが鉄則です!