ここでは、アレルギーが疑われた時に行うIgE抗体検査の目的や、検査値の見方についてわかりやすくまとめてみました。
ご自分やお子さんの検査結果と照らし合わせてご覧ください。
アレルギーが起きる仕組み
抗体検査の目的を知るために、まずはアレルギーが起きる仕組みからお話します^^
私たちの体にウイルスや細菌が体に入ってきた時には、それに抵抗する「抗体」を作って敵をやっつけようとします。
これが免疫システムってやつです。
しかしたまに、体に害のない食べ物や花粉に対しても、体が敵だ!と認識して「抗体(IgE抗体)」が作られます。
そして、このIgE抗体が過剰に反応して、自分の体を攻撃しすぎた結果起きるのが、アレルギーです。
特に、消化・吸収機能が未熟な赤ちゃんや子供は、食べ物を異物として認識してしまうことが多いので、食物アレルギーが起きやすいんですね。
異物と認識された食べ物(アレルゲン)は、消化吸収されて全身の血液をめぐるため、皮膚だけではなく、腸・気道・目・鼻など全身でアレルギー反応を引き起こします。
そのため、アレルギーが悪化した時には、下痢やおう吐、気道の閉塞、呼吸困難に陥ることもあるんですね。
アレルギーの抗体検査とは?
抗体の働きについておわかりいただけたところで、次にようやくアレルギーの抗体検査についてです^^
具体的にこの検査で調べるのは、血液中のIgE抗体の有無や量です。
そのため、子供も大人と同じように針を刺して採血をします。
この検査では、すべてのアレルゲンに対するIgE抗体(非特異的IgE)の量と、卵白だけに反応する「卵白特異IgE抗体」ダニだけに反応する「ダニ特異IgE抗体」などアレルゲンごとのIgE抗体(特異的IgE)の量を測定することができます。
そうすることで、アレルギー体質かどうか、何にアレルギーを起こしやすいのか把握することができるのです。
ちなみに、私の娘が、卵アレルギー発症時に、検査した特異的IgEは以下の項目。
- ダニ
- 猫
- 犬
- 卵白
- 加熱卵白
- 卵黄
- そば
- エビ
- ピーナッツ
その他、ハウスダストや花粉(スギ・ヒノキ)など、現在200種類以上の特異IgE抗体を測定することができます!
IgE抗体ー検査結果の見方
非特異的IgE検査
IgE抗体の全体量のこと。
基準値は以下のようになっています。
<非特異的IgE 基準範囲>
1歳未満 | 20以下 | IU/ml |
1~3才 | 30以下 | |
4~6才 | 110以下 | |
7才以上 | 170以下 |
高ければ高いほど、アレルギー体質が疑われますが、免疫機能が未熟な乳幼児は上昇を示さない場合もあります。
また、花粉や食物アレルギー、喘息やアトピー性皮膚炎では総IgEが上昇しないこともあり、評価が難しい面もあるようです。
特異的IgE検査(RAST)
測定値は、クラス判定で段階的にわかりやすく表示されています。
「0~6」の7段階で、アレルギーの原因となる特異的IgEが多いほどクラス判定の段階が上がります。
クラス0は陰性、クラス1は偽陽性、クラス2以上は陽性、クラス4以上は強陽性でほとんとの場合なんらかのアレルギー反応が出ると言われています。
ただし、判定と症状の強さが必ずしも一致するわけではなく、クラス2でも、重篤なアナフィラキシー症状を起こす人もいあれば、クラス4でも症状がでない人もいるようです。
その他のアレルギー検査
皮膚テスト(プリックテスト)
アレルゲンと思われる食べ物のエキスを皮膚に垂らし、小さな傷を作り、赤く腫れるかどうかを見る検査です。
簡単に行えて、痛みも軽度なので、乳幼児にも安全に行えます。
15分程で皮膚の反応を見て、判定できます。
血液検査で分かりにく6ヶ月前後の低月例の子供でも判定することができます。
食物経口負荷試験
食物アレルギーの確定診断に必要な検査で、実際に、アレルゲンと思われる食べ物を食べて症状の有無を観察します。
まれにアナフィラキシーの様な重篤なアレルギー反応が出る場合があるので、必ず医療機関で医師の観察下で行われます。
食物アレルギーは治るの?
私の娘の場合、生後9ヶ月頃に全卵で蕁麻疹が出て、検査した時は、卵白の結果が測定値32.30でクラス4判定。
なかなかのレベルでしたが、医師の指導通り、1歳から加熱卵白を1さじ…2さじ…とゆっくり量を増やしながら食べさせたところ、2才には加熱卵は問題なく食べられるようになっていました。
そこで、疑問だったのが、卵白に対するIgE抗体が減ったのか?アレルギーが治ったのか?ということ。
調べてみたところ、成長とともに消化機能や免疫機能が整うと、IgE抗体ができにくい体質になるようです。
そのため、乳幼児期に発症した食物アレルギーも、3才頃までに5割、6才頃までに8~9割の人が治ります。
特に鶏卵、牛乳、小麦、大豆は治りやすく、逆にピーナッツ、ナッツ類、甲殻類、魚類、果物は治りにくい食品と言われています。
治療は医師の指導のもとで
検査でアレルゲンが特定した場合、基本的に原因食物の除去を行いますが、食べられる範囲まで食べた方が良い場合や、除去の必要性がない場合もあります。
お子さんの食物アレルギーを治すためには、必ず自己判断ではなく、医師の指導のもとでアレルギーの管理を行うようにして下さい。