流産と聞くと、ドキっとしますが、切迫流産は『流産する危険性のある状態』のことで、実際に流産しているわけではありません。
赤ちゃんの心拍が確認できて、安静にできれば正期産に無事出産できることも多いです。
しかし、10~15%の確率で流産は起こるとされているので、早く受診しても、治療をしても、残念ながら避けられない流産もあります。
ここでは、妊娠したら知っておいて欲しい切迫流産の症状や治療、予防法についてお話したいと思います。
目次
切迫流産と切迫早産
切迫流産と切迫早産は、切迫する「時期」の違いで診断名が変わります。
この時期というのは、分娩時期の分類と同じで、次のように分類されます。
- 流産
妊娠22週未満(21週6日まで) - 早産
妊娠22週0日~妊娠36週6日まで - 正期産
37週0日~42週未満 - 過期産
妊娠42週0日以降
つまり、妊娠22週未満で、流産する危険性のある状態となるのが切迫流産、妊娠22週~妊娠36週に早産になる危険性がある状態になるのが切迫早産です。
この2つの大きな違いは、もしもの時、赤ちゃんが生存できる可能性があるかどうかです。
22週以降に早産になった場合には、合併症の危険性はあるものの、生存の可能性はあります。しかし、22週未満で流産になった場合には、残念ながら生存できる可能性はゼロと判断され、特別な治療は行いません。
切迫流産の原因は?
妊娠初期(15週目まで)の流産は、ほとんど染色体異常によるものです。もともと成長が難しい受精卵が原因となるので、防ぎようがないのです…。
妊娠12週から22週未満の後期流産では、子宮頸管無力症や子宮筋腫の炎症によって子宮収縮(陣痛)を起こしたり、クラミジアなどの感染症が原因となって破水を起こすことで流産することがあります。
切迫流産の症状は?
妊娠初期は、流産しても気が付かないことも多いですが、次のような症状がでる場合があります。
- 不正出血(ダラダラ続くことが多い)
- 下腹部痛
- 下腹部の不快感
- 腰痛など
妊娠初期には少量の出血や軽い下腹部痛はよく起こることなので、これらの症状があったからと言って、流産とは限りません。
ただ、流産の徴候でもあるので、不正出血や生理痛のような下腹部痛がある場合には、病院に相談するか受診して下さい。
夜間や休日でも、産科であれば電話対応してくれるところがほとんどなので、受診すべきか指示を仰いでください。
もし切迫流産になったら治療はできる?
子宮口が開いてきてしまった場合には、残念ながら流産を止めることはできません。
腹痛や出血に対して、子宮収縮薬や止血剤、ホルモン剤を使うこともありますが、直接的に流産を止める効果はありません。
そのため、切迫流産と診断された場合には、とにかく自宅や病院で安静を保って、経過を見ます。
クラミジアや膣炎が原因の切迫流産の場合には、抗生剤を使用して感染症の治療を行います。
切迫流産で無事、出産できる確率は?
切迫流産は、妊娠した人全体の15%つまり6~7人に1人は経験すると言われているので、妊娠したら誰にでも起こりえる症状です。
切迫流産と診断された方のうち、約半数の方は、無事に元気な赤ちゃんを出産し、約半数の方は残念ながら流産に至るという統計結果があります。
流産の原因が、胎児側の原因(染色体異常など)の場合は予防は難しいですが、子宮頸管無力症や感染症などが原因であれば、早期発見し治療することで流産は予防することができるので、この確率はもっと高くなるでしょう。
切迫流産を予防する方法
体を温めて、冷えを予防する
体の冷えは、卵巣や子宮の血流を減少させて、ホルモンの働きや子宮内膜の働きが悪くなりることで、胎児への血流が低下するなどの影響がでることがあります。
血は全身をめぐっているものなので、お腹だけではなく、手足など末梢の冷えにも気を付けましょう。
アルコールを飲まない
妊娠初期は主要器官が作られる時期なのです。飲酒は、流産のほか胎児の奇形を引きおこすリスクがあるので止めましょう。
たばこを吸わない
たばこは、血管を収縮させる作用があるので、胎児への血流も低下させます。
実際に、妊娠中にたばこを吸うと流産の確率が2倍になると報告されています。
感染症は早めに治療をする!
切迫流産の原因のところでお話したように、クラミジアなどの感染症は、後期流産の原因となるため、早めに治療を行い、流産を予防することが大切になります。
セックスは妊娠16週以降、コンドームをつけて
性行為自体で流産を起こす可能性は低いとされていますが、医師や専門家の中には、妊娠初期はセックスは避けたほうが良いという意見もあります。
ただ、精液には子宮を収縮させる物質が含まれていたり、感染症の危険があるため、必ずコンドームを使用するようにしましょう!
授乳はやめる
授乳中には、子宮収縮させるホルモンが分泌されるので、上の子が授乳している場合には、やめることも必要となります。
長時間同じ姿勢を取らない
お腹に負担となるような同じ姿勢をとったり、お腹に力が入るような重労働は避けるようにしましょう。
座り仕事であれば休憩を入れて簡単なストレッチをしたり、体が疲れているようであれば休憩中は横になった休むことも大切です。
避けられる流産を避けることが大切
受精卵の染色体異常はなんと40%の確率で起こると言われているので、どんなに予防していても避けられない流産があります。
そのため、お母さんは避けられる流産を予防することが大切になります!
妊婦検診を定期的に受けて、「不正出血がある」「下腹部に違和感がある」などの切迫流産の徴候があった場合には、受診して医師の指示を聞くようにしましょう。