発熱時にみられる熱性けいれんは、命に関わることはなく、怖いものではありません。
ただ、熱が出ている時にけいれんしたからと言って、熱性けいれんとは限りません。
髄膜炎や脳炎など重大な病気が隠れていることもあるので、けいれん時、そしてけいれん後のお母さんの対応が大切になります。
そこで、ここでは小児科医から教えてもらった対処法や、私が救急外来で熱性けいれんのお子さんを看た経験を含めて、どう動いたらいいのか、正しい対処方法を紹介したいと思います。
目次
熱性けいれんとは?
熱性けいれんは、名前の通り、発熱した時に起こるけいれんです。多くは、熱が上がってくるときに起こります。
乳幼児の100人に7~8人は経験すると言われているので、我が子に起こる可能性も低いとは言えません。
発症のメカニズムははっきりわかっていませんが、乳幼児は脳の発達が未熟なので、発熱による刺激を受けやすいためと考えられています。
熱性けいれんの起きやすい年齢は?
熱性けいれんは、6か月~3才頃から始まるのがほとんどです。
1度熱性けいれんを起こした場合、半数は2回以上繰り返すと言われいて、けいれんを起こしやすい体質の子もいます。遺伝的な要因があるので、特に親族に熱性けいれんを起こしたことがある人がいる子は、起こしやすくなります。
繰り返す子も、6才頃には、熱性けいれんを起こさなくなります。
熱性けいれんの症状
- 意識がなくなり、白目をむく
- 唇が紫色(チアノーゼ)になる
- 両手足をピーンと伸ばし、背中を反り返らせる
(強直性けいれん) - 手足をガクガクと震わせる
(間代性けいれん)
これらの症状が2~3分続いて、眠ったあとに、目を覚まします。
ただ、これは一般的な症状であって、すべての子に当てハマるわけではありません。
体は反り返らず、手足を曲げている子もいますし、白目をむかない子もいます。
熱性けいれんが起きた時の正しい対処方法
1、あわてない
わが子のけいれんしている姿を見たら、誰でも怖いし、絶対に焦ります。
私は看護師として、痙攣は何度か見たことがありますが、それでも絶対に恐怖で手が震えると思います。
ただ、『命に関わることはまずない』と言うことを思い出して、できるだけ冷静に以下の対応をとりましょう。
2、体を横向きに寝かせる
吐く場合もあるので、吐いたものを喉に詰まらないように体を横に向けて寝かせます。
けいれんで、横を向かせづらければ、背中にクッションなどを入れて、顔はしっかり横をむけるようにしましょう。
その時、服は緩めて、体にピンなど危ないものが付いていれば、取り外してあげましょう。
3、赤ちゃんから目を離さない
熱性けいれんか他の病気かを知るためにも、ここが大切です!
時計をみて、何分続いているかとけいれんの様子をしっかり目を離さず見ましょう!
けいれんと言っても、手足をピーンと伸ばしている、体を反り返らせている、ガクガク体を震わせている、手足がピクついている、左右どちらかだけけいれんを起こす、などさまざまなタイプがあります。
どのようなけいれんだったか、何分続いたのかは、医師が診断や治療を行う上でとっても重要なので、しっかり病院で伝えられるようにしましょう。
4、余計なことはしない
歯を食いしばっているからと言って口にタオルを入れたり、大きな声で呼びかけたり、ゆすったり、押さえつけるようなことはしないで下さい!
体を横に向けて、お子さんをよく見るだけで、あとは何もしないでください。
熱性けいれんが治まった後の正しい対処方法
1、起きたら、焦点が合うか確認
熱性けいれんが起きたあとは、たいてい眠ってしまします。
その後、目が覚めら、目が合うか、意識はもうろうとしていないか確認しましょう。
2、体温を計る
体温が何度でけいれんを起こしたかを把握するためです。
本当に熱性けいれんか医師が確認する意味もありますし、けいれんを起こした体温を知ることで、次に発熱したときに、解熱剤や痙攣を抑える薬を使って予防することができます。
3、病院へ受診する
熱性けいれんを以前にも起こし、病院で指示をうけている場合にはそれに従って対処しましょう。ただ、初めての熱性けいれんの場合は、他の病気が隠れていないか診てもらうためにも早めに病院を受診しましょう!(以下のような緊急度の高いケースでなかれば、日中の受診で構いません。)
こんな時は、大至急病院へ!!
- けいれんが5分以上続く
- けいれんが治まって数分~数時間後に繰り返しけいれんが起きた
- 目覚めた後も様子がおかしい、目が合わない
- けいれんの前後に『何度も吐く』『首が硬直して曲がらない』などの症状がある
- 生後6ヶ月未満or5歳以上
けいれんは、熱性けいれんだけではなく、髄膜炎や脳炎、てんかんといった病気でも起こります。これらのサインは、それら重大な病気の可能性があるので、かかりつけ医に連絡するか、大至急病院に受診して下さい!!
★けいれんが5分以上続いているときや、意識がおかしいときには救急車を呼んですぐに病院へ行って下さい!
迷ったときは#8000
日中は、対応に困っても小児科病院へ連絡すれば済みますが、夜間・休日の対応は特に困りますよね。
そんな時は、夜間休日の小児電話相談窓口【#8000】に連絡をしましょう!
ここにかけると、各都道府県の相談窓口に自動転送されて、医師や看護師から対処方法のアドバイスを受けられます。
※実際時間は都道府県によっても違うので、詳細は厚生労働省ホームページへ
→http://www.mhlw.go.jp/topics/2006/10/tp1010-3.html
まとめ
熱性けいれん自体は、こわい症状ではありませんし、受診が必要ないケースも多いです。
ただ、髄膜炎やてんかんなどの病気でもけいれんを起こすので、『本当に熱性けいれんなのか?』ということが問題になります。
この怖い病気の可能性があるか見極めるには、お母さんが赤ちゃんの様子をしっかり見ることが大切です!けいれんを起こしたら、動揺する気持ちを少しだけ押さえて、どんな様子でけいれんしていたか、何分続いたか、けいれんが終わった後はそんな様子だったか、観察して、適切な対処をとれるようにしましょう!