予防接種で予防する15の感染症ー乳児死亡率40%の感染症も!?

2ヵ月になると、Hib(ヒブ)や小児用肺炎球菌・B型肝炎の予防接種が始まりますが、これらの感染症ってどのような病気でどんな症状がでるか知っていますか?

実は、赤ちゃんに重い障害が残ったり、最悪の場合命に関わる病気なんです…。
そこで、赤ちゃんが予防接種ワクチンで予防できる恐ろしい感染症の症状や合併症についてまとめてみました。

目次

小児用肺炎球菌

肺炎球菌は、名前の通り、肺炎の原因になる菌です。ですが、菌が入り込んだ場所によって、中耳炎や細菌性髄膜炎、菌血症などを引き起こす危険性があります。

もし細菌性髄膜炎を起こすと、脳や脊髄を包む髄膜に炎症を起こして、知能障害や難聴、発達の遅れなどの後遺症を起こす確率がなんと44%!死亡する確率も11%(2012年、厚生労働省の研究結果)と、とても恐ろしい感染症です。

特に、月齢が低い赤ちゃんほどさらに重症化しやすいと言われています。
小児用肺炎球菌のワクチンは生後2ヵ月~接種できるので、2ヵ月になったらすぐに接種するようにしましょう!

Hib(インフルエンザ菌b型)

Hib(インフルエンザ菌b型)は、季節性のインフルエンザと混同しがちですが全くの別ものです!
冬に流行るインフルエンザはインフルエンザウイルスによる『ウイルス感染』ですが、Hibワクチンで予防するのは、インフルエンザ菌による『細菌感染』です。

このHibが血液中に入ると、髄膜炎、咽頭蓋炎、肺炎、関節炎、敗血症などをおこします。
髄膜炎については、小児用肺炎球菌でお話したように、脳や脊髄を包む髄膜に炎症を起こす病気で、初期症状は発熱・嘔吐・痙攣などで、その後悪化すると5%が死亡し、25%にてんかんや発達障害など重大な後遺症を残すとても危険な感染症です!

咽頭蓋炎とは、ノドがひどく腫れて呼吸もできなくなってしまうような状態で、敗血症は全身の細菌が回って全身状態が著しく悪化してしまう状態です。
いずれも、命に関わる危険な状態となりえます。

小児肺炎球菌と同じ生後2ヵ月~接種できるので、2ヵ月になったら小児用肺炎球菌と一緒に早め接種しましょう!

B型肝炎

こちらは一度は耳にしたことがある病気かもしれませんが、B型肝炎ウイルス(HBV)の感染によって起こる肝臓の病気です。B型肝炎ウイルスは、分娩時に母から子に感染したり、輸血や性行為で感染します。

このウイルスが体内で増殖すると、黄疸や全身倦怠感を伴う肝炎を発症し、後に10~15%の割合で肝硬変や肝がんを発症すると言われています。

集団生活(保育園など)で感染するはほぼないですが、感染者の血液や分泌物、汚物に触れて感染する可能性がゼロではありません。
そのため、28年10月1日からB型肝炎のワクチンは任意接種から定期接種に変更になり、全員が積極的にワクチンを受けるように勧められています。

B型肝炎ウイルスも、小児用肺炎球菌・Hibと同様、2か月から接種できるので、一緒に接種するようにしましょう!

四種混合

四種混合は4つ感染症を予防するワクチンなので、それぞれどのような病気、合併症を予防するのか見ていきます。

1、破傷風

土壌の中にいる破傷風菌が、傷口から体内に入り、破傷風菌が出す毒素により発病します。肩こりや口、手足のしびれといった症状から始まり、痙攣や筋肉の硬直、呼吸筋麻痺などが起こり死に至る確率はなんと40%と、非常に恐ろしい病気です。

しかし、破傷風ワクチンはワクチン接種でほぼ100%免疫(抗体)がつくとされているので、生後3か月になったら、しっかり受けるようにしましょう!

2、ジフテリア

ジフテリア菌が、のどや鼻などの粘膜に感染し、発熱、のどの痛み、犬が吠えるような咳などの症状が現れ、窒息する危険性もあります。

また、ジフテリア菌が出す毒素によって神経や筋肉を侵し、神経麻痺や失明、心筋炎を起こすこともあり突然死もありえる危険な感染症です。

3、ポリオ(小児まひ)

ポリオウイルスが口から入り、腸の中で増殖することで感染します。
感染した90~95%の人は、症状もなく自然にウイルスが便に排泄されますが、約5%の人は、発熱や頭痛・嘔吐などのかぜ症状があります。

このかぜ症状で終わればいいのですが…約0.1~2%の人に手足の麻痺が一生残ってしまいます。また、呼吸をする筋肉も麻痺して人工呼吸器がなければ生きられなくなります。

そんな恐ろしいポリオも予防接種の普及により、30年ほど日本での感染者は出ていないようです。

4、百日咳

百日咳菌の飛沫感染により感染する病気で、感染力が高く、日本でも年間1万人が感染すると言われています。しかも、百日咳菌は親からの免疫がもらえないので、新生児でも感染する危険性があります。
世界的にみると、年間20~40万人の乳児が百日咳菌が原因で死亡してるとされています。

発症時は軽い咳がでるかぜのような症状ですが、連続して激しくせき込むようになり、呼吸ができずに痙攣、突然死することがあります。

また、肺炎や脳症を合併して命に関わる状態になることもあります。

BCG

BCGは結核を発症させる結核菌の感染を予防します。
昔の病気のように感じますが、今でも毎年2万人以上の感染者が発生する病気で、肺の炎症を起こし咳や痰、微熱がでます。

しかし、乳幼児が感染すると、粟粒結核(ぞくりゅうけっかく)という重症の結核に進行したり、髄膜炎を起こして重い脳障害が残ったり、最悪の場合死亡します。

麻疹・風疹

麻疹(はしか)

一般的に『はしか』と呼ばれる病気は、麻疹ウイルスの感染により発病します。
麻疹は、発熱や咳、鼻水、目やにといったかぜ症状が現れて、2~3日後に39度以上の高熱と発疹がでます。

約30%が気管支炎、肺炎、中耳炎、脳炎などを合併し、肺炎や脳炎で0.1%の人は死亡するとされています。乳幼児に関わらず、感染力が強く重症化しやすい病気です。

風疹

風疹ウイルスの感染により発疹、発熱、リンパ節の腫れが現れますが、たいてい3日程度で症状は軽快します。まれに脳炎や血小板減少性紫斑病(血が止まらなく病気)などの重い合併症を起こします。

日本脳炎

日本脳炎は、日本脳炎ウイルスに感染した豚を蚊が刺して、その蚊が人間を刺すことで感染します。必ず蚊が媒介となるウイルスで、人から人に感染することはありません。

もし、感染しても症状が出る人は0.1%~1%程度で、ほとんど発症しません。
発症した場合は、発熱・頭痛・嘔吐などの症状が現れます。その後、意識がなくなったり、痙攣をおこし、脳炎を合併した場合には15%が死亡し、50%は重い後遺症を残すと言われています。

水ぼうそう

水痘・帯状疱疹ウイルスの感染が原因でおこる病気で、とっても感染力が強いのが特徴です。
感染すると、発熱と強い痒みを伴う全身の発疹に広がります。発疹は、水疱(水ぶくれ)やかさぶたとなって、一般的には7~14日程度で治ります。

ただ、ごくまれに脳炎や肺炎を合併して死亡することもあります。

おたふくかぜ

おたふく風邪(流行性耳下腺炎)は、ムンプスウイルスの感染により、発熱と両方または片方の耳下腺の腫れを起こす病気です。

比較的、症状は軽いですが、3~10%の人が髄膜炎を起こして、0.01~0.5%の人に難聴の後遺症が残ると言われている、合併症の頻度が高い感染症です。

ロタウイルス

胃腸炎を引き起こすウイルスの中でも、いちばん重症化しやすいウイルスで、口から入ることで感染します。

水様性の下痢、嘔吐、発熱があり、通常は治療しなくても便などからウイルスを排出したら7日程で回復していきますが、脱水や痙攣、脳炎、脳症、腎不全を合併するすことがあります。

ロタウイルスは、5歳までに95%の子が感染すると言われていて、4か月~2歳までは特に重症化しやすいと言われています。(3か月まではお母さんの免疫があります。)

ロタウイルスは、希望で受けられる任意接種ですが、かなりの確率で感染すること、そして子供から子供、大人にも感染することから、できる限り予防接種しておくことをおすすめしたいです。

インフルエンザウイルス

皆さんおなじみ、冬~春先にかけて流行するインフルエンザ(A型・B型)は100種類以上あるインフルエンザウイルスの感染により発症します。

大人がかかっても、重いかぜ症状が出ますが、赤ちゃんが感染すると、肺炎や脳症を合併して、知能障害や運動障害などの後遺症を残す場合もあるます!

インフルエンザワクチンは、完全に感染を予防することはできませんが、肺炎や脳症など、命に関わる合併症を予防することができるので、ぜひ接種をおすすめします!

ちなみに、インフルエンザワクチンは生後6か月以上から受けることができて、13歳未満は3~4週間の間隔を空けて計2回接種が必要になります。
しっかり免疫効果が得られるまで2週間程度かかるので、11月中に接種するようにしましょう!

まとめ

ワクチンを受けなかったことで、感染症で命を落としたり、後遺症を残すことになる乳幼児が毎年たくさん発生しているのが現実です…。

副反応の心配もあって、『ワクチンは本当に必要⁉』と感じるお母さん・お父さんもいるかと思いますが、感染症で命に関わる状態になる確率に比べたら、ワクチンの副反応で命に関わる状態になる確率なんて微々たるものなんです…。

お子さんの健康を守るためにも、接種が推奨されている適切な時期に、適切な回数を接種するようにしましょう!!!

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