妊娠中は、ちょっと気を抜くと思った以上に体重が増えてしまったり…体重管理って本当に大変ですよね。
そこで、妊娠中の体重管理の基本から、妊娠初期・中期・後期の理想の体重増加について紹介していきたいと思います。
妊娠中はどうして体重が増えるのか?
赤ちゃんの成長
一番想像しやすいのは、お腹の中で成長する赤ちゃんの重さですね。
出産時には赤ちゃんは約3㎏になるので、その分お母さんの体重が増えることになります。
上の図は、お腹の中の赤ちゃんの成長曲線で、個人差はありますが、約95.4%の赤ちゃんが点線の範囲内で成長します。
この図を見てわかるように、妊娠5ヶ月目にあたる妊娠18週でようやく250g程、妊娠6~8ヶ月頃には骨格が出来て体重もどんどん増えていきますが、皮下脂肪は少なく1.5㎏程です。
最後の妊娠9ヶ月~10ヶ月にかけては、赤ちゃんの体重が約1.5㎏増加するので、お母さんの体重も増えやい時期になります。
胎盤・羊水の増加
赤ちゃんの以外にも、妊娠によりお母さんの体の中ではさまざまな付属物が作られます。
- 胎盤 約500g
- 羊水 約500g
- 血液・水分の増加、乳房や子宮の増大 約3㎏
つまり、胎児の重さを含めて、7㎏は物理的に増加する計算になります。
体脂肪が増える
さらに、ホルモンの働きにより、皮下脂肪を蓄えて赤ちゃんを守ろうとします。
細い人ほど皮下脂肪が必要となるので、体格により異なりますが、約0~3㎏増えるとされています。
つまり、体格差を除けば、7~10㎏増加するのが理想ということになります。
【恐怖】体重が増えすぎた時のリスク
妊娠中に体重管理が大切になるのは、お母さんと赤ちゃんの命に関わる問題だからです。
ここでは、体重が増えすぎた時、具体的にどのような危険があるのか、詳しく見ていきたいと思います。
妊娠高血圧症候群で、赤ちゃんの発育が止まる!
妊娠高血圧症候群とは、妊娠20週~分娩後12週まで高血圧やタンパク尿がみられる状態で、約4%の妊婦さんに起こります。
妊娠高血圧症候群を起こすリスクとして、『肥満』『糖尿病』『塩分の取りすぎ』など、妊娠中の食事&体重管理に関わるものも挙げられます。
高血圧くらい…と軽く考えしまう方もいるかもしれませんが、妊娠中の高血圧はとっても危険ということを知っておいて下さい…!
高血圧が重症化すると、母体では子癇(けいれん発作)や脳出血、腎不全、胎盤早期剥離、DIC(血液凝固異常)など命に係わる重篤な状態となることがあります。
お腹の中の赤ちゃんは、高血圧の影響で必要な栄養や酸素が行き届かなくなり、発育遅延や胎児死亡を起こすこともあるのです…。
妊婦検診のたびに必ず血圧を測定するのは面倒かもしれませんが、母体と赤ちゃんの健康をチェックするためにとても重要な意味があったのですね。
妊娠糖尿病のリスクが高くなる!
妊娠糖尿病とは、妊娠の影響により起きる糖代謝異常で、妊婦さんの約7~9%の妊婦さんが発症します。
お母さんが高血糖状態になると、お腹の中の赤ちゃんも高血糖になって、巨大児、発育遅延、流産や子宮内胎児死亡などを起こすことがあります。
また、生まれてきてからも、低血糖や黄疸、心臓の肥大などの合併症を起こす危険性があります…!
微弱陣痛・回旋異常が起こりやすい
『体重が増加えすぎると、難産になる』というのは、よく耳にしますよね?
その理由は、産道に余分な脂肪がつくことで、赤ちゃんが下りて来にくくなったり、子宮の筋肉の働きが弱まること(微弱陣痛)で、分娩が長引くためです。
ちなみに第1子妊娠中に15㎏増えてしまった私は、見事、微弱陣痛&回旋異常で、緊急帝王切開となりました。
分娩が長引くと、気が遠くなる陣痛に長時間耐えなければいけませんし、出血量も増えるので大変な分娩になります…。
血液検査も尿検査も引っかかったことなんてなかったので、『私は体重が増えても大丈夫!』と思っていましたが、体重増加は甘く見てはいけないと身に染みました^^;
腰痛が起きやすい
体重が増えることで、骨盤や腰椎に負担がかかり、腰痛が起きやすくなります。
妊娠後期はただでさえお腹の重さで腰に負担がかかりやすいので、体重管理はもちろんのこと、『骨盤ベルト』を使用したり、『腰痛体操・ストレッチ』で血流を良くするのも腰痛対策に効果的と言われています。
妊娠中の理想の体重増加
10ヶ月間の理想の体重増加
体重増加の目安は、体格によって異なるので、BMI(国際的な体格指標)によって区分されています。
体格(BMI) | 体重増加の目安 |
痩せ(BMI:18.5未満) | 9~12kg |
ふつう(BMI:18.5~25.0未満) | 7~12kg |
肥満(BMI:25.0以上) | 5㎏前後(個別対応) |
※BMI25以上の人は、個別対応で、医師と相談のうえで体重管理が行われます。
体重増加のペースは?
では、具体的にどれくらいのペースで体重増加するのが理想なのでしょうか?
次の表は、体格別の体重増加をグラフで示したものです。
平均値から前後1㎏~2㎏にある上限・下限の範囲内に収まるのが目安になります。
体重が増え始める妊娠4ヶ月頃からの、具体的な体重増加のペースは、
- 1週間で500g以下
- 1ヶ月で1.0㎏~1.5㎏
と言われています。
妊娠中の合併症を防ぐためにも、上のグラフのような緩やかな増加が望ましいので、毎日体重チェックをして、急激な体重増加を防ぐようにしましょう!
妊娠各期の理想の体重増加
妊娠初期
妊娠初期の終わりにあたる妊娠15週で、赤ちゃんはようやく100g程で、お母さんの体重に影響する程ではありません。
お母さんの体は出産に向けて準備を始めていて、血液量や水分量、脂肪が少しずつ増えてくるので、体がふっくらしたように感じる人もいるかもしれません。
ただ、本格的に体重が増え始めるのは妊娠中期以降からで、妊娠初期は1㎏~多くても2㎏の増加で抑えるのが目安とされています。
つわりの影響で偏食したり、ジャンキーなものを食べすぎてしまうと、妊娠初期から無駄に脂肪を蓄えてしまうことになります…!
妊娠中は、ホルモンの影響によって、普段より痩せずらくなっているので、今後のことを考えて体重を増やしすぎないよう注意することが大切です。
妊娠中期
妊娠中期は、赤ちゃんが約1㎏~1.2㎏まで成長するので、お腹の重さも感じる頃です。
赤ちゃんの体重のほかにも羊水や胎盤の増大、お母さんの血液量・水分量の増加で体重も増えやすい時期です。
ただ、つわりが楽になることで、食欲が増し、脂肪も蓄えやすい時期でもあります…!
BMI25未満の妊婦さんの、1週間の体重増加の目安は300g~500gとされているので、小まめに体重計に乗って、急激に体重増加しないよう気をつけましょう!
妊娠後期
妊娠後期は、赤ちゃんが約3㎏まで成長し、羊水量や胎盤、お母さんの血液量・水分量が最も増加する時期です。
赤ちゃんも糖分をどんどん吸収する時期なので、お母さんもご飯や甘いものが食べたくなるでしょう。ただ、食欲に歯止めをかけないと急激に太ってしまう時期です…!
妊娠中期と同じく、BMI25未満の妊婦さんの、1週間の体重増加の目安は300g~500gとされているので、甘いものを控えたり、寝る前の食事を控えるなどして、出産まで気を抜かずに体重管理を行うようにしましょう!
体重増加しやすい時期
妊娠中は、ちょっと気を抜くと1キロ、2キロ…とどんどん体重が増えてしまいます…!
しかも、非妊娠時に比べ、体重を落としづらくなっているので、増えやすい時期は特に体重管理に気をつけましょう!
つわり明け
つわり明けは、食欲が回復し、反動でついつい食べ過ぎてしまう時期です。
つわり時期は、体重が全く増えなかったり減ってしまった人も、妊娠中期になって必要以上に体重増加しまう人が少なくありません!食欲に身を任せていては、妊娠中期までに8㎏…10㎏…と簡単に増えてしまうので、特に注意したい時期のひとつです!
妊娠後期
妊娠後期にあたる妊娠8~10ヶ月は、赤ちゃんがグンと大きくなる時期なので、お母さんの食欲が増す時期です。
さらに、産休や里帰りが重なると日々の運動量が減り、体重増加に拍車がかかってしまいます!
また、便秘や浮腫みも起こりやすくなるので、多くの妊婦さん体重管理に苦戦する時期と言えるでしょう。
イベント時期
年末年始など外食やご馳走を食べる機会が重なる時期は超注意です。
1日うっかり食べ過ぎても元に戻すチャンスはありますが、イベント時期に『食べすぎ』が続いてしまうと、1ヶ月で3キロ…4キロ…と取り返しのつかない程増加してしまいます…!
急激な体重増加は、合併症を起こすリスクを高るので、1週間に500g以上増加しないよう注意してイベント時期を乗り切りましょう!
体重管理のコツ
体重管理を成功させた先輩ママさんは、次のようなことを実践していました!
- 毎日体重計に乗る
- 食べたものを書き出す。
(リーディングダイエット方式) - ウォーキングを習慣づけた
- 外食やお弁当は避け、塩分控えめを心がけた
- 甘いものを控えた
(食べたい時は1日1個、午前中に食べるようにしたなど) - 揚げ物を控えた
- 寝る前4時間は食べないようにした
多くの先輩ママさん体重管理のために実践していたのが、食生活の見直し!
妊娠中は、食欲が増したり、外食が多くなってカロリーオーバーしがちですが、そういうちょっとした習慣が急激な体重増加に繋がってしまうんですね。
まずは、自分の食生活を見直して、体重増加の原因になる習慣をチェックすることから始めましょう!
おわりに
産科でお世話になっている先生から聞いた話ですが、妊娠中に25㎏体重が増加したお母さんが出産した赤ちゃんは、40週で体重が1300gしかなかったそうです…。
体だけではなく、脳にも十分な酸素が行き届かくなるので、生まれても脳性麻痺が残ることもあるそうです。
自己管理ができないせいで、そのような事態を招くことは誰しもが避けたいことだと思います。
私自身今妊娠8ヶ月になり、体重管理の難しさを痛感する日々ですが、『元気な赤ちゃんの顔を見るため』だと思って、食事管理を見直していきたいと思います!!